【自律神経失調症の原因】
自律神経の働きを簡単に説明しますと、悲しいと涙が出るなどの精神の調整、気温によって汗をかいたりして 体温を一定に保つなどの神経の調整、月経や排卵などホルモン分泌と関係している内分泌の調整、 細菌やウィルス感染したときなどの抵抗力と関係している免疫の調整です。この自律神経が長期の疲労や 精神的ストレスなどの原因で、交感神経と副交感神経のバランスが崩れるとさまざまな症状があらわれます。 鍼灸治療には交感神経と副交感神経のバランスを安定させる働きがありますので、交感神経興奮時に起こる 高血圧、心臓がドキドキする、手や顔から多量の汗をかく、イライラ、不眠、反対に副交感神経興奮時に起こる、 全身から汗が出る、食欲不振、胃潰瘍、便秘や下痢、無気力などの症状を改善させることができます。 また自律神経が乱れやすい体質で、学校や仕事をたびたび休む、ひどく疲れる、朝起きられない、一般に健康な方と 同じペースで生活するのがとても大変という方は、ぜひ鍼灸治療を継続して受けていただくことをお勧めします。
【自律神経失調によるめまい】
めまいには周囲がぐるぐる回って見える回転性のめまいと、立ちくらみ、ふらふらゆらゆらするめまい感とがあります。鍼灸治療を行う前の注意点で、まっすぐ歩けない、手足のしびれを伴う、めまいを感じている時間が長いなどの場合は、鍼灸不適応になることがありますので、このような症状を伴う場合はまず病院での検査をお考えください。 鍼灸治療が効果を発揮するめまいは、平衡感覚に関係がある内耳のリンパ液や耳石が原因によるもの、事故により頸椎を痛めたり加齢による首の骨の変形によるもの、自律神経の異常によるもの、病院で検査をしても特に異常はないが原因不明のめまいが続くものです。東洋医学の観点から見ますと、めまいは目の前がかすみ暗くなるものを[眩:げん]、目の前がぐるぐるまわり物が揺れて見えたりすることを[暈:うん]といい、この二つが同時に起こることを眩暈といいます。また、眼がかすみ頭がクラクラするものを目眩(もくげん)、他に眩冒(げんぼう)もあり、昔からめまいという症状に人々が苦しんでいたことがわかります。眩暈の原因はすべて肝に関係すると東洋医学の古典に記載があり、めまいには肝の経絡の気(生命エネルギー)を調整する必要があります。他に耳たぶの裏側から後頚部にかけて存在するツボの状態をよく観察して丁寧に治療をしていきます。治療は仰向け、横向け、うつ伏せで行いますが、体勢によってめまいがおこる場合は、めまいが起こらない体勢で治療を行います。月経時の出血が多くて貧血が起きてめまいが起こる場合は、月経異常を改善する治療をしていけば、自ずからめまいはおさまります。